藺草慶子『藺草慶子集』(俳人協会

桐の花人に離れて歩きけり 藺草慶子

早池峯に幕ぱつと割れ夏神楽 同

紺つばめ平戸に古りし解剖図 同

自らの蕊に汚れて百合ひらく 同

雪の夜の尿瓶にいのち響きけり 同


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%BA%E8%8D%89%E6%85%B6%E5%AD%90 【藺草 慶子】藺草 慶子(いぐさ けいこ、1959年(昭和34年)9月29日- )は、日本の俳人。

経歴

東京都生。1982年、東京女子大学白塔会にて山口青邨に師事。青邨の「夏草」同人、のち斎藤夏風の「屋根」同人。「藍生」会員。1996年、『野の琴』により第20回俳人協会新人賞受賞[1]。2006年、石田郷子、大木あまり、山西雅子とともに「星の木」創刊、同人。2016年、『櫻翳』により第4回星野立子賞受賞[2]。他の句集に『鶴の邑』『遠き木』がある。昭和女子大学では、日本語日本文学科にて俳句の創作を担当している[3]。俳人協会幹事、日本文芸家協会会員。

著作

『鶴の邑』牧羊社〈処女句集シリーズ ・2〉、1989年3月。ISBN 4-8333-1001-5。

『藺草慶子句集 野の琴』ふらんす堂、1995年12月。ISBN 4-89402-146-3。

『藺草慶子句集 野の琴』(新装版)ふらんす堂〈受賞句集選書 1〉、1997年4月。ISBN 4-89402-195-1。

藺草慶子 ほか『現代俳句最前線』 上巻、北溟社、2003年4月。ISBN 4-89448-407-2。

『藺草慶子句集 遠き木』ふらんす堂〈ふらんす堂精鋭俳句叢書〉、2003年9月。ISBN 4-89402-578-7。

『櫻翳』ふらんす堂、2015年10月。ISBN 978-4-7814-0810-1。

『雪日』ふらんす堂、2024年10月。ISBN 978-4-7814-1698-4。


https://chakolate.blog.fc2.com/blog-entry-1270.html【『藺草慶子集』 (自註現代俳句シリーズ・13期37)】より

かつて「藍生」でご一緒していた…というか、仰ぎ見ていた大先輩の藺草慶子さん

(今ももちろん仰ぎ見ている)

   押し分くる葉の軋みけり蓮見舟  さくらんぼ母が笑へば父笑ひ

   踏む影のそばからあふれ盆踊  どんぐりや拾へば根あり冬日向

   中有とや八手の花に梯子触れ

俳句を始められてから現在に至るまでの歴史が句に添って語られ、そうだったのかと腑に落ちることも。

句集未収録の句も読める。

  拭いても拭いても鏡に桜顕はるる   藺草慶子

の句には 

「自分の作品に自信がもてず、変えたいという思いがいつもある。この方向でいいのか自分ではわからない。模索しながら作り続けるしかない」

などと書かれており、ええ?藺草さんでも?とびっくり。

それなら私など堂々と模索するしかあるまい。


https://masakokusa.exblog.jp/37682311/  【草深昌子のページ 招待席 ― 晨集より     藺草慶子】より                 

 ひやひやとひさごを吊つて臼置いて      草深昌子

吊られたひさごの下にはどっしりとした臼が置かれている。 丸い二つのものの軽重、大小、質感の対比が楽しい。〈吊って〉〈置いて〉の対句の軽やかなリズム感も心地よい。

そして見所は〈ひやひやと〉という肌感覚の季語がひやっと一句を引き締めるところだ。

〈冬うらら〉〈ひややかや〉などと比べてみればその違いは明らかだろう。季語の効果、力を感じる。より       藺草慶子


https://sectpoclit.com/hashimoto-117/ 【ぽつぺんを吹くたび変はる海の色 藺草慶子】より

(『新版角川俳句大歳時記 新年』)

「ぽつぺん」は、細長い漏斗状のガラス細工の玩具のこと。「ぽぴん」「ぽぺん」「ぽこんぽこん」「ビードロ」など、異名が多い。広い口の側に薄くガラスの膜があって、反対側から軽く息を吹くとそれが振動し、名前の由来となっている独特なユルく弾けるような音が鳴る。そしてそれがなぜか新年の季語とされている。『新版角川俳句大歳時記』には、「正月に吹いて厄を払う」と解説にあるのだけれど、どういう経緯でそんな風習になったのかはさっぱりわからない。音を鳴らして厄を払うというのは、たとえば宮中の鳴弦が浮かぶ。庶民のものだと、鈴が代表だろうか。しかし、鳴弦も鈴も、ちょっとぽっぺんには縁遠い気がするし、なぜ新年の風習になっているのかの参考にはならなさそうだ。長崎由来ということで、コレラ除けのまじないだったりしたのだろうかなどと勝手な想像はふくらむのだけれど、さっぱりわからない。あるいは、あの他にはない独特の音に何やら神威を感じたものか、ただの戯れか、売り口上が風習に化けたか。

さて掲句では、そのぽっぺんの音の不思議さが、海の色を変えてみせているという。別々の知覚が相互に影響を及ぼしあうことを「クロスモーダル現象」というが、この句におけるぽっぺんの音は、聴覚から視覚に影響を与え、海を見る主体の視覚を変化させているのだろう。興味のある方、海を見ながらぽっぺんを鳴らしてみてください。



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